(更新停止)時の狭間


「くゆるちゃん。」


まったく。
彼女はいつも突然だ。


「おはよう、シオンさん。」


腰に絡み付く彼女の腕を引き離して。
振り返り正面から向き合った。


「フフ、おはよう。」


彼女は私が起きると側に居る。
それはよく考えれば不思議なことだった。

ユウくんの所へ行った時もすごく遠くて。
私の部屋から出るのだって相当な距離を歩いたのに。
彼女はどうして、そこまでして私の所へ来てくれるのだろうか。


「シオンさんは、記憶を持っているの?」
「どうしたの、いきなり。」


彼女は特に驚いた様でもなく、ゆったりとした口調だった。


「ただ、気になっただけなんだけれど。」


ひとつ、間を置いて。
まっすぐに彼女の瞳を見た。


「私とシオンさんの関係が気になったの。」


漆黒のそれが細められ、おかしそうに笑みを零した。


 



< 24 / 44 >

この作品をシェア

pagetop