(更新停止)時の狭間
「くゆるちゃん。」
まったく。
彼女はいつも突然だ。
「おはよう、シオンさん。」
腰に絡み付く彼女の腕を引き離して。
振り返り正面から向き合った。
「フフ、おはよう。」
彼女は私が起きると側に居る。
それはよく考えれば不思議なことだった。
ユウくんの所へ行った時もすごく遠くて。
私の部屋から出るのだって相当な距離を歩いたのに。
彼女はどうして、そこまでして私の所へ来てくれるのだろうか。
「シオンさんは、記憶を持っているの?」
「どうしたの、いきなり。」
彼女は特に驚いた様でもなく、ゆったりとした口調だった。
「ただ、気になっただけなんだけれど。」
ひとつ、間を置いて。
まっすぐに彼女の瞳を見た。
「私とシオンさんの関係が気になったの。」
漆黒のそれが細められ、おかしそうに笑みを零した。