(更新停止)時の狭間
「そういえば、ユウくんに聞いたんだけど…。」
これ以上彼女にルールを破らせるわけにはいかない。
だから、ユウくんの言っていたことは自分で思い出そうと思う。
しかしそれ以外にも気になることがあったのだ。
ユウくんは時の狭間のマネージャーみたいなものだと言っていた、あの影。
ゆらゆらと落ち着きのない動きをしていたあれは、ユウくんがルールを破ったから来たのだと言っていた。
だとしたら、私がルールを破れば私の所にも来るのだろうか。
「ああ、あれね。」
シオンさんはやれやれと言ったように溜息をついた。
そして、彼女の手はまた私の首へ。
「あれは、死神よ。」
ユウの所にあれが行ってるってことはユウは全てを思い出したのね。
そう言って彼女は苦い顔をした。
意味が分かっていない私に、シオンさんはいつもの笑顔を向ける。
「死神は魂を回収してるの。ユウは全てを思い出したんでしょうね。」
つまり、全てを思い出した人の魂を回収しているのが死神で。
ユウくんは全てを思い出しているから、死神が魂を回収しに来ていた、と。
そういうことらしい。
「どうして、行かないのかな。」
小さな彼が、何故こんなところに残っているのだろう。
何か他に目的が?
もし、ユウくんが行かない理由が、私を惑わす為だとしたら?
「そんなわけ、ないよね…。」
そこまでする理由がない。
それ以前に、ユウくんはそんなことしない。
まるで自分に言い聞かせるように。
胸に埋め込んだ。