(更新停止)時の狭間



「シオンさんもルールを破ってるってユウくんは言っていたけど。」


死神のことを知っていると言うことは、彼女も死神に会っているということなのだろうか。
となれば彼女も全てを思い出していると言うことになる。


「破っているし、これからもきっと破るでしょうね。」


喉を鳴らして笑う彼女もユウくんと一緒で、やはりルールを破っていることを気にしていないようで。


「破ってるって、全てを思い出しているってことなの?」


そう問う私の首をするりと撫でてほほ笑んだ。


「私にもユウにも、目的があるのよ。」


目的。
それはいったい何なのだろう。
全てを思い出しているのに、わざわざ時の狭間に残る理由。
ルールを破ってまですることなのか。

そもそも、ルールを破っても罰則はないのだろうか。
ユウくんもシオンさんも、あまりにけろっと言い放つから気にはならなかったのだけれど。
ユウくんにははぐらされてしまったし。


「そのルールを破ったら、どうなるの?」


にやり。
彼女は口の端をあげて笑った。

その笑みは、綺麗で。
それでいて背筋を凍らせた。


「罰はあるわ。」


くつくつと喉を鳴らす彼女は、とても楽しそうに見える。
私の首を撫でる手は相変わらず愛おしそうだった。


「ここから出られなくなるわ。」


戸惑いもなくそう言ったシオンさんに、私はただ息をのむ。


「永遠に、ね。」


彼女の笑い声が、やけに響いて聞こえた。



 

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