一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~
運命の一夜
私の部屋のカギを開けて、中に入ると、店長は一瞬だけキスを止めて私を見た。
「大人の余裕、装うのやめていいか?」
真剣な張り詰めた余裕のない顔で言う店長に、私は思わず少し笑う。
その笑いは店長にあきれたわけじゃなく、愛おしくて、かわいいとさえ思ってしまうくらい、いつもは手が届きそうで届かない存在だった店長が近く感じた。

「捨てちゃってください」
そう返した私に店長もふっと笑いながら、再び私にキスをする。

今度は熱すぎるキスではなく、穏やかな波のようによせてはかえす、優しさにあふれるキス。

こんなに誰かとキスをしたのは初めてかもしれないと思う。

誰かと気持ちを確かめ合うためにキスはしたけれど、まるでキスをしながらお互いの感情を分かち合っているような、会話しているような感覚ははじめてだ。

それに、キスを続けても全く嫌じゃない。
むしろ唇が離れる一瞬でも、切ないくらい胸が痛くなり、すぐにまた唇が欲しくなる。
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