一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~
私たちを包み込む沈黙。

でも今はこの沈黙が苦しくない。

お互いにお互いを想いすぎて、言葉にならない想いが溢れすぎて、黙ってしまう。

『もう少しだけ踏ん張れ。もうすぐ帰るから。急いで帰るから。』
「はい」
震えてしまう私の声。
鼻声になったことで余計に泣いていることが店長にばればれだ。
『ちゃんと着替えて、ちゃんと布団に入って眠れよ?』
「はい」
『麻貴』
「はい?」
『愛してる』
私たちは電話を切った。
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