一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~
私はすぐに仕事に戻り、その日も深夜まで店舗内のディスプレイを変更した。

どんどんと在庫がなくなる商品がある。
タイの工場で作っていた商品を急遽フィリピンにある工場で作れるように、現地で店長があれこれ手配を済ませたと、本部に情報が入ってきたけれど、いつ入るのかは未定だ。

もしかしたら店長はそのままタイからフィリピンに行かないとならなくなるんじゃないかと不安になりながら、私は日に日に店長のことを考える余裕すらないくらい、自分を保つことに必死だ。

「麻貴、帰るぞ。」
「うん」
碧はいつも私の仕事に付き合ってくれていた。

「今日もタクシーで帰る。」
「了解。じゃあ俺は帰るな。」
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