一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~
病院についてからも、店長は私にほとんど何もさせてくれない。

男性とは思えないとてもきれいな字を書く店長。
問診票すらほとんど私の代わりに私の情報を書くから、少し恥ずかしくて、問診票の挟まれたバインダーを店長から奪い取った。

待合室で名前を呼ばれるのを待っている間にも、店長は育児雑誌やら妊娠関係の雑誌を手当たり次第に読み漁っていく。

妊婦さんが店長を微笑ましく見ている視線に、私は少し自信がもてたような気がした。

そして、いよいよ私の番。
まずは私一人で診察に呼ばれる。
店長は診察室の扉の前に立って、自分が呼ばれるのを待っていてくれた。

生まれて初めての内診。
緊張して医師から深呼吸をするように言われながら、必死に耐えていると隣のモニターに小さな点がうつった。
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