一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~
マッシュヘアーは黒髪でナチュラルにセットされていて、細身のスーツを見事に着こなしている。丈感も、腕時計やタイピンの小物遣いもかなりの上級者だ。

「店舗社員の椎名麻貴です。デザイン系の大学を出ていて、本店のデザインやディスプレイは彼女に最近任せることが増えています。もちろん本部のディスプレイ担当も基本的な案は提供しますが、その中でも彼女は個性を出すのが上手だ。年齢にあわない実力と努力家で、桐生さんの今後の支えになりますよ。」
副店長は隣に立っている男性を見上げるようにして私を紹介する。

敬語を使っているところを見ると、その男性が誰なのか私にはすぐにわかった。

「椎名、今日から移動になった店長の桐生和真さんだ。」
やっぱりと内心思いながら私は新店長に頭を下げる。
「椎名麻貴と申します。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
私を見て微笑む店長。
背が高い店長を見上げるようにして顔を見ると、まぶしいほどにイケメンだった。
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