一夜がつなぐ運命の恋   ~店長の子どもを身ごもりました~
『麻貴』
「・・・はい」
『頼むから、コンビニに入って待ってて。』
急に低かった声が、心配そうな声になって、私は焦っていた気持ちがピタリと止まった。
「はい・・・」
この人にこんな声をさせたくない。
これ以上、心配をかけたくない。

そんな想いの方が先行して、私は体の向きを変えてコンビニに入った。

サラリーマンはさすがにコンビニの中には入っては来なくて、仕方なさそうにその場を離れた。
「もう大丈夫です。居なくなりました。タクシー呼んで帰ります。」
まだ切れていない通話。
電話の向こうは何やら騒がしい。
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