【コミカライズ】うっかり助けた魔女の恩返しで、好きな人の元に自動で向かう魔法を靴にかけられ、彼に触れると発動する淫紋を刻まれた私に起こった椿事。
 やれ美人で評判の誰かに告白されて断っただの、良い縁談があったらしいけど断っただの、そういった色恋に関するロルフの噂を聞いて、ブランはいつも良かったと胸を撫で下ろす。

 けれど、ずっとこのままではない。ブランにだって、それは胸が痛くなる程にわかっていた。なんだかんだで拗らせてしまった関係は長期間に渡り、二人はもう適齢期と言える年齢になってしまった。

 あのロルフだって、やりたい盛りの若い男性だ。もしかしたら、異性の好みにうるさいから、今は恋人などは作っていないかもしれない。でも、彼だっていつかは、可愛い彼女を作り幸せな結婚をしてしまうだろう。

 ブランはそれを間近で見ることなんて、辛すぎて絶対に無理だと思ってしまう。それなら、もう生まれ育って住み慣れたこの村から出ようと思い詰めるくらいには。

 もし、ロルフが結婚するとしたら、住むのは隣の家じゃなくて何処か違う家なのかもしれないが、狭い村の中でそんな愛し合う二人の姿を見てしまえば、不甲斐ない自分へのやるせなさと、激しい嫉妬で胸を掻き毟りたくなるのは目に見えていた。

(ロルフとの関係を、少しでもなんとかしたい)
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