アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き


 驚いたのと同時に、両親が病室に入ってきた。

 個室にしてくれてありがとう、おかげで静かに眠ることができてるよ。


 両親に感謝してる時、お医者様が入ってくる。

 見た感じ、間違いなく私の担当医さんだろう。


 ベッドで眠る私の横で、両親とお医者様が何か話し込んでる様子。

 三人の目前に私がいても、透明人間のような感じなので、姿は見えてないようだ。



 どんな話をしてるのか興味はある。

 自分が置かれてる状況も気掛かりなので、そばに寄って聞き耳をたててみる。



 働いてたオフィスの机の角に後頭部を打ち付け裂傷、当たり所も悪く出血多量で意識不明のまま病院に運ばれてきたようね。

 応急処置を施して体は回復に向かってるけど、意識だけが戻らないんだ……

 お医者様も、項垂れて溜息をついてる。



 本当は脳死状態で、ずっと意識が回復しないのではと両親が心配していた。

 お医者様から、原因は分からないけど、意識だけが戻らない状態だと断言されている。

 胸を撫で下ろす両親は、お医者様が病室を出て行った後も、残って私を見つめていた。



 父は心配そうに私を見つめてるけど、母はどう思ってるんだろう……




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