アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
4.課長は慌てて私の手を
翌日の昼過ぎ、病室に課長が姿を表した。
スーツにネクタイ、頭はバーコード。
見た感じ、会社を抜け出して来た様子。
いや、課長のことだから、間違いなくサボりだ。
いちおう、私の上司だから、お見舞いに来てもおかしくはないけど……
他に、会社の人も見当たらないし……
一人で来院したのかな、ちょっと不安……
捻くれた考えを脳裏に浮かべながら、私は椅子から立ち上がる。
体をフワフワと浮遊させながら、とりあえず様子を見ることにした。
嫌味を言ってきたり、雑用を押しつけて私を困らせるセクハラ課長。
部下のことが本当に心配で、お見舞いに来てくれたんだったら、可愛いところもあるじゃないですか。
でも、毛髪が薄い頭皮を隠すため、サイドの毛を横に流したバーコード頭。
頭皮がいつもより輝いてるような気がする。
皮膚から滲み出る脂質が天井の明かりに反射して、瀬油課長の頭を光らせる。
そして、呼吸もフーフーと荒い。
ちょっと、嫌な予感がするのだけど……