アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
「わわわわわっ、大変だーっ! じゃなくて、変態だぁーっ!!」
病室の扉を開け外に出て、看護師さんを呼ぼうと考えた。
でも、自分で扉を開けることができない。
すり抜けて脱出しようとする、だけど無理みたい。
壁や扉にぶつかって、すり抜けることができないでいる。
幽体離脱した透明人間なのに、どうして?
などと大騒ぎしながら壁や扉を叩いてるうちに、課長が歩き始めた。
「きゃぁぁぁっ! 私の体にちかづかないでぇぇぇっ!!」
私の悲痛な叫びは、誰の耳にも届かない。
もちろん、課長にも……
ふんっ、と鼻を鳴らした課長はベッドの横にある椅子に腰を下ろす。
そして、スーツの内ポケットに右手を入れたまま口を開いた。
「まずは、これで……」
ちょっと!そのゴッドハンドに何を持ってナニをするつもりなのよっ!
目の前には、意識無くベッドで眠る私がいる……