アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き


「とりあえず、これで……」


 課長はゴッドハンドと呼ばれる右手で何かを掴み、スーツの内ポケットから勢いよく取り出して口を開いた。


「テッテレーッ! 皮脂拭き取りマシーン!」


 はぁ?


 秘密道具をポケットから取り出すように、勝ち誇った表情で言ってる。



 でも、それは……

 ただのハンドタオルだった……


「ハンカチじゃ間に合わないからね」


 そう話しながら、課長は額と顔の汗を拭き取ってる。

 たしかに、ハンカチよりハンドタオルのほうが皮脂や多量の汗を吸着できるでしょう。


 でも、秘密道具感は必要ないよねっ! 色々と勘違いして焦ったわよ……

 私はちょっと安心していた。

 でも、次の瞬間!


「ついでに、渋矢くんの顔もキレイにしてあげよう……キミは課長補佐だしね……」


 などと言いながら、課長が脂ぎったハンドタオルを私の顔に近づけてるっ!




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