アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
2.どうして急に襲いかかってくるの


「渋矢くん、頼んでいた企画の書類は順調に進んでるかね?」


「まあ、それなりに……」


 会社のエレベーター、密閉された空間で課長と二人きり。

 OLの私は、直属の上司から次の企画の進捗状況を聞かれてるのだけど……


 私、渋矢 朱美(しぶや あけみ)は嫌な気配を感じ取っていた。

 斜め後ろに立ったまま話す、課長の息づかいが荒い。



 ―― 次の瞬間!



「はうぅぅぅっ!!」



 密室で他に社員がいない状況をいいことに、私のお尻をさわってきたのだ!

 しかも、ソフトボールの球を持つように、手を大きく広げて力強く鷲掴みしてくるではありませんか!


 きゃっ! とカワイイ声は出ない。

 驚きながら背中を仰け反らせ、変な呻き声が私の口から漏れてしまった。


 大胆不敵でワイルドなセクハラに、心臓をバクバクさせながら振り返る。



 口を真一文字に紡ぎ、私は目を細めて課長を睨み付けた。




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