アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
5.胸元に顔を埋め小声で言う
いつになったら、私は目を覚ますことができるのだろう……
椅子に座り、ベッドで横になって眠る自分の姿を見続ける時間が続いてた。
課長の意味不明な行為に気落ちしていた私。
両親も姿を見せないし、会社の同僚だって……
弟は遠く離れた土地で仕事をしてるから、簡単に帰郷して私のお見舞いなんて無理だろうし……
「なんだか、寂しいよ」
意識が戻らない体から、幽体離脱した私は途方に暮れていた。
原因は分からないけど、病室から抜け出すこともできないし、息が詰まるよ。
溜息の数が多くなるばかりで、気が滅入ってしまう。
何も出来ないまま、時間だけが過ぎていく日々。
自分の不甲斐なさに、苛立ちを感じていた。
「いったい、どうすれば……」
私は両手で頭を抱え、現実逃避するのが精一杯。
その時、病室の扉をノックする音が聞こえた。