アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
コンコン
扉をノックする音が、病室に響く。
時計を見たら、患者さんとの面会が終わる直前ぐらいの時間帯。
外は太陽が沈んで暗く、夜になっていた。
「こんな遅い時間に、誰だろう……」
扉の向こうから声がする。
「失礼します」
聞こえてきたのは男性の声。
しかも、聞き覚えがある。
顔を俯かせ、沈んでいた私の心が晴れやかになってしまう。
「入るよ」
病室の扉を開いて、姿を見せたのは私の婚約者。
同期入社で同じ歳、仕事ができて何でも頼れるイケメンの彼だ。
「もう、来るの遅いよっ! でも嬉しい!」
私は椅子から立ち上がり、小走りで駆け寄り彼を抱きしめる。
その結果は分かってるけど……