アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
6.身近にいる優しい彼が好き
失意の底に沈む私……
病室の片隅で、床にお尻をつけたまま三角座り。
少し距離を取って、自分が眠るベッドを見つめていた。
婚約者だった、あの人が姿を見せてから何日が過ぎたのだろう。
あの時のことは、何も思い出したくないよ。
幽体離脱して透明人間みたいな私だけど、心はズタズタに切り裂かれて辛い。
気分を変えて、現実逃避したいけど病室から出ることも無理みたい。
どうしたらいいのだろう……
そんな時、病室の扉をノックする音が聞こえた。
コンコン
「誰かしら……」
面会時間が終了する30分前、トラウマになってしまいそうなほど嫌な時間帯。
窓から外を見ると、すでに日が落ちて暗い夜空になっていた。
再びコンコンと扉をノックする音が聞こえる。
「ちょっと、怖いよ……」