アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
なぜか課長は、黒髪セミロングで色白な素肌の女性が好きみたい。
私は課長の好みに合わせてる訳ではないのだけど……
セミロングの黒髪で肌も色白だ……
課長は廊下を早足で歩き進み、どこかへ消えていく。
私が胸に抱きかかえてる書類は、すべて課長宛のもの。
どうせオフィスのフロアにある課長の机の上に届けるのだから、この場で受け取ってほしかった。
でも、大胆なセクハラ行為に呆然としていたので、渡しそびれてしまう。
私も、イライラしながらエレベーターを出て歩き出す。
パンプスの靴底を、いつもよりカツカツと音を大きく鳴らして不愉快な気持ちをアピールするけど……
静かな廊下にカツカツと響く音を耳にしていたら、むなしくなってきた……
高卒で就職したこの会社に長く勤務する私は、主任を経験した後、今は課長補佐という立場。
役職になって部下も三人いるけど、直属の上司がセクハラ課長の瀬油だ。
なぜか、今でも新人の頃のように雑用なんかを押しつけてくる。
私だってノルマがあって、いそがしいんだからねっ!
などと、声に出さず心の中で叫ぶ小心者の私。
静かな廊下を歩きながら、一人になると今までの辛いことを思い出してしまう……