アラサーOLは婚約者より身近にいる優しい彼が好き
課長のセクハラはいつものこと、気が滅入るけど元気を出す。
オフィスの扉を開き、フロアに足を踏み入れた私は直後に仕事モードへ切り替える。
直属の部下に笑顔を見せると、私に向かって労いの挨拶をしてきた。
「渋矢さ~ん、お疲れさまで~す」
語尾を伸ばす今時の話しかた、会社の制服を着てメイクやネイルもバッチリ決めたキラキラOLが、パソコンのモニターに視線を向けたまま座ってる。
高校を卒業して三年目だけど、若くて美人だから社内の男性から人気もあるみたい。
「ごくろうさま」
私も笑顔で挨拶をして、みんながいる場所と自分の席を通り過ぎる。
机や椅子が迷路のように混み合ったオフィスのフロアを私は歩き進む。
そして、窓際にある課長の席へ向かっていた。
高層ビルの窓から見る外の景色は綺麗で心地いい。
天気も良くて遠くまで見渡せる。
沈んでいた気持ちも、だんだん晴れやかなってきた。
両手で胸に抱えてる書類を、課長の机に置けばミッション終了。
やっと自分の仕事に戻れる。
そう、思っていた矢先の出来事……