妖狐の花嫁は月夜を想う
やっぱり近くにはない。

「妖狐って、どこに住んでいるんでしょうね。」

「そうだな。森の奥じゃないか?」

南教授は、適当に答えている。

最近、私の妖怪熱が冷めないように、南教授は私の話を受け流すようになった。

研究で忙しいのは分かるけれど、次期妖怪学者を育てるのも、教授の役目なんじゃないの⁉


「じゃあ、教授。私、行きますね。」

「気を付けて帰るんだよ。」

「はい。」

私は大学を出ると、山に向かった。

何の当てもない。ただ、近くの大きな山だったから向かった。

適当に答えた南教授の『山にいるんじゃないか?』と、真に受けたのだ。

「妖狐だけじゃない。もしかしたら、他の妖怪もいるかもしれない。」
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