妖狐の花嫁は月夜を想う
私はウキウキして、森の入り口へと入って行った。

森の中は舗道もなく、細い道が続いているだけ。

こういうところ、行方不明者とか多そう~。

気を付けないと。

しばらくすると、だいぶ森の奥までやってきた。

うん。空気も美味しい。

大きく深呼吸をした時だ。


遠くに赤い鳥居が見えた。

「鳥居って事は、神社?」

私はスマホを取り出して、地図を開いた。

でも、そこに神社は登録されていない。

私は、少しずつその鳥居に、近づいて行った。


その途中で、冷たい物が頬に当たった。

しかも、ポツポツと。

「雨?」

空を見上げると、晴れている。

「天気雨だ!」

そして私は思い出した。

天気雨って、別名”狐の嫁入り”と呼ばれている事を。
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