妖狐の花嫁は月夜を想う
見られるかな。狐の嫁入り。

私は茂みに隠れて、周りを見た。

「なーんてね。あるわけないか。」


その時だった。

向こう側の道から、行列が来るのが分かった。

「誰だろう。」

良く見ると、狐達だ。

皆、紋付袴を着ている。そして、真ん中辺りには、花嫁衣裳を着た白い狐がいた。

「本当だったんだ。狐の嫁入り。」

ぽかーんとしながら見ている内に、その行列はあの赤い鳥居の神社に行くのだと分かった。

ついて行こう。

茂みに隠れながら、私はゆっくりとその行列に、付いて行った。


10分ぐらい歩いただろうか。

赤い鳥居が見えてきた。

その前にも狐達がいる。

そしてその後ろに、白い長髪の美しい人を見つけた。
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