妖狐の花嫁は月夜を想う
狐の中に人間が一人?

その不思議な組み合わせに、すっかり目を奪われてしまった私は、姿を隠す事を忘れていた。


「ん?人間臭いぞ。」

一匹の狐が、こっちを向いた。

やばい。

私は地面に這いつくばるようにして、身を屈めた。

「まさか、こんな森の奥に人間がいる訳ないだろう。」

「だが、稲荷神社があると言う事は、人間が住んでいたと言う事だ。」

「それも100年前までの話だ。」

狐達は人間の言葉を話している。


長い間生きている動物は、人間の言葉を理解し、話す事もできるらしい。

ねえ、君たちどれくらいの間、生きているの?

見つかったら、何をされるか分からないと言うのに、私は不謹慎なくらいに、妖狐達に興味を持っていた。
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