妖狐の花嫁は月夜を想う
「行こう、花婿殿はもう目の前だ。」

花婿殿。誰があの狐の相手なんだろう。

私はそーっと、茂みの中から顔を出した。


その瞬間、一匹の狐と目が合った。

「人間だ!人間がいるぞ!」

その瞬間、あんなにいた狐達が、一斉に散り散りになっていく。

「逃げるな!捕まえろ!」

そしてまたわーっと、狐達が集まって来て、私を取り囲んだ。

「おまえ、人間だな。」

「えーっと、そう見えますか?」

試しに言ってみる。

「人間ではないと言うのなら、証拠を見せろ。」

「証拠……」

私はいろいろ考えたけれど、何も思い浮かばない。

「やっぱり人間だ!」

そして私は、狐達に捕まってしまった。

「どうします?」
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