もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
もしも、私の背中に翼があったなら。
愛を知る
空は青く広く
ずっとずっと遠くまで続いてる。
私は、空を飛びたいと思う。
もし生まれ変わるなら
この広い空を飛んでゆける
鳥になりたいと思う。
高野美沙、19歳。
私がまだ幼稚園に通っていた頃、両親は事故で亡くなった。
その後、施設で育った私は
誰かに愛されることをあまり知らない。
小学校、中学校、
それなりに友達はいて
それなりに楽しく
それなりに勉強して
それなりに生きてきたけど、
笑っていても本当はずっと寂しかった。
家族がいないこと。
どんなに仲が良い友達にも
私といる時とはまた別に
“家族”という居場所がある。
そう思うと、どんなに友達がいても
どんなに周りに親切にされても
寂しさは埋まらなかった。
幸せな人を見ると、悔しいような悲しいような気持ちに襲われた。
高校2年になるまでは…。
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