もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
一緒に話していた向井さんは男だけど…
りょうに本当のことを言うと、もっと怒りそうだったから
私は怖くて嘘をついた。
『違うよ…。女の……先輩だよ…。』
「本当だな…?男だったら許さねーからな!!!」
りょうは私の肩を痛いくらいに壁に押しつけた。
『痛っ…、りょう離して。』
「仕事が終わったら絶対すぐに帰ってこい。いいな!?」
私は怖くて怖くて
震えた声をふりしぼった。
『はい……』
りょう………
これはヤキモチなんかじゃない……
こんな怖い束縛のような態度は
私が思うヤキモチじゃない。
りょう………
どうして……?
どうしてこんなことになっちゃったの?