もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
戸惑いの中で
それから私はなるべくりょうが怒らないように
小さな行動にまで気を付けるようになった。
りょうは
怒っていない普通の時は
付き合い出した時と何も変わらない。
普通に笑うし優しいんだ。
私は信じたくなかった。
りょうに暴力をふられるようになったこと
あの優しいりょうが
人が変わったみたいに
些細なことで怒りだす。
ねえ、りょう
お願い………
怒ったりしないで。
ぶったりしないで。
どんな理由があっても
男の人の力って
本当に強くて、
想像以上に強くて
女の私には抵抗できないんだ。
だから怖いよ。
もう怒らないで………
私は、りょうには頷いたものの
やっぱり仕事上、向井さんたちと繋がりをきるなんてできなかった。
そんなの、私に仕事を辞めろって言ってるのと同じ。