もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「どうした?具合でも悪い?」
仕事中
よっぽど顔色が悪かったのか
向井さんが心配して声をかけてきてくれた。
『大丈夫です。すいません。』
最近、ビクビクしながら生活してる気がする…
りょうに怒られないように
神経を使いすぎて
身体がついていかない。
「高野さん、今日仕事終わったら飯でもどう?」
向井さんがすごく気にかけてくれているのが分かった。
『すいません。早く帰らないと怒られるんで…』
つい、口から出てしまった一言。
「怒ら…れるの…?親に??」
向井さんはそう言って苦笑い。
『いえ、私は両親はいないんです。今は彼氏と同棲してて……』
なんでこんなに迷いもなく、自分の状況を話せるのかは分からない。
向井さんになら
話してもいいような気がしたんだ。