もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「高野さん彼氏…いたのかぁ。ごめん、知らなかったもんだから。」
向井さんはそう言って笑った。
「でも………何か順調ではなさそうだね?」
『え?』
「順調にいっている幸せな人の顔じゃあないから。さっき、早く帰らないと怒られるって。」
『ああ…、はい。なんか最近ちょっとしたことですぐに怒られちゃって……』
向井さんは
特別に何かを話さなくても
私のことを分かってくれている気がした。
私が元気がなくても、いつも無理に詳しく聞こうとはしてこない。
優しく伺うだけ。
「大丈夫…?まあ、何かあったら友達として!いつでも話聞くからさ。良かったら連絡先登録しといて。」
そう言って、向井さんは私に携帯番号とメールアドレスを教えてくれた。
こんなこと、りょうにバレたら
まだぶたれるかもしれない…
でも、
不安だらけの気持ちに気づいてくれる人がいることが
すごく嬉しかった