もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「ただいま。」
りょうが帰ってきたのは
夜の11時前だった。
『おかえり。残業お疲れ様。』
「うん。」
りょうは、疲れた顔で椅子に腰掛けた。
『ハンバーグ作ったんだけど、食べる?』
「おう。」
2人で小さなテーブルに向かい合って
ハンバーグを食べる。
「なあ。」
静かな食事の中、りょうは突然口を開いた。
『なに??』
「美沙の両親って、美沙が何歳の時に亡くなったの??」
『なに?イキナリ。』
私が軽く笑って不思議がった。
「いや、なんとなく。」
『私が幼稚園に通ってた頃だから……5歳…かな?』
「確か事故って言ってたよな?」
昨日のりょうが嘘みたいに
りょうは穏やかな口調だった。