もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)


『うん。幼稚園ってお遊戯会ってあるじゃない?それを観に来てくれる途中で事故に遭ったの。』





忘れもしない。

だけど、微かな記憶。







お遊戯会の舞台はライトに照らされていて、



たくさんのお客さんの中からお母さんとお父さんを探すのは困難だった。






でも、観に来てくれるって約束したから…きっといる。





そう思って、私は

シンデレラを演じたんだ。





同じシンデレラ役の子は何人かいた。
主役は私だけじゃないけど、


私が演じたのはガラスの靴を落としてしまうシーンのシンデレラだった。






お遊戯会が終わって知ったこと。






お母さんもお父さんも






お遊戯会には来ていなかった。




来る途中、事故に巻き込まれて





もう二度と

会えない人となった。






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