もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
助けて…
りょうが
いつものりょうに戻った、という安心感で
私はホッとしていた。
お風呂から上がり、タオルで髪をくしゃくしゃっと拭きながら
リビングに入る。
するとりょうは、また私の鞄から
今度は携帯を取り出していた。
『りょう?』
「……………」
『ねえ、りょう!』
私はりょうに近づき、りょうの手から携帯を取った。
『なんで…勝手に見るの??』
「別にいいだろ?」
『私、何もやましいことなんかないよ??りょうは何を疑ってるの?』
「あるじゃねーかよ。向井って電話帳に入ってた。昨日の写真の奴だろ?」
さっきの穏やかなりょうは
どこに行ったの…?
また怖い顔をしてる