もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)


たくさん殴られた後








私は携帯だけを持って
外へ飛び出した。






殴られた頬が痛くて……




痛くて



怖くて涙がたくさん流れた。






声をひきながら泣いて走った。




足やお腹も


身体のあちこちが痛かった。




近くの公園のブランコに座って

ガタガタと震える手で携帯を開く。







ボタンを押して電話帳を開く。





画面には“向井さん”



迷ってはいたけど、
それより恐怖の方が強かった。



いつも仕事中、私を気にかけてくれて

心配してくれたり
笑わせてくれる向井さん……

向井さんは
友達としていつでも話聞くからって

そう言って連絡先を教えてくれた。



助けて…




助けて…




向井さん………





< 24 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop