もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
たくさん殴られた後
私は携帯だけを持って
外へ飛び出した。
殴られた頬が痛くて……
痛くて
怖くて涙がたくさん流れた。
声をひきながら泣いて走った。
足やお腹も
身体のあちこちが痛かった。
近くの公園のブランコに座って
ガタガタと震える手で携帯を開く。
ボタンを押して電話帳を開く。
画面には“向井さん”
迷ってはいたけど、
それより恐怖の方が強かった。
いつも仕事中、私を気にかけてくれて
心配してくれたり
笑わせてくれる向井さん……
向井さんは
友達としていつでも話聞くからって
そう言って連絡先を教えてくれた。
助けて…
助けて…
向井さん………