もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)


「飲める?口…大丈夫かな?」


手当てのあと、向井さんは温かいミルクティーを出してくれた。




『大丈夫です…。本当にありがとう……。』



私は床に小さくなって座っていた。

向井さんは私の隣にあぐらをかいて座る。





「いつから?」





真っ直ぐ、真剣な表情の向井さん。


「いつから…こんな………ヒドイことされてた??」



『今日みたいにヒドかったのは初めてだけど……』




「今日言ってたよね?最近彼氏がすぐに怒るって…。」



『はい。』



「殴られたことは今までにもあった?」



『最近は結構……些細なことでキレて殴られたり、束縛みたいなのがすごくて………』





私は

思い出すと怖くて


りょうのことを考えるのが嫌になった。




優しくて、不器用で、いつも真っ直ぐなりょうが大好きだったのに……。


今、私はりょうには
もう近づきたくないって恐怖を抱えてる。




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