もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
今まで1度も話したことがない彼。
いきなり名前を呼ばれて
女の子に慣れているな、というのが伝わってきた。
「良かったらメアド教えてくんない?俺、美沙ちゃんのことずっと気になってたんだ。」
彼は学ランのポケットから携帯を取り出し、私の机に肘をついた。
『ああ………えっと……』
突然のことに驚いていた私は
彼の少し強引な態度に負けて
メアドを教えてしまった。
それから、彼の猛アタックが始まった。
メールは積極的によく送られてくるし
学校でも毎日話しかけられる。
彼は平気で
「今日も可愛いね」
「美沙ちゃんのこと好きなんだ」
「付き合ってよ」
なんて、言ってくる。
金髪の長い髪
だらしない制服の着方
全てが軽々しく見えてしまって
私は
彼がますます苦手になった。