もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)

「きっとエスカレートする一方だよ。早く別れた方がいい。」







りょうと別れるなんて

考えたこともなかった。


ずっと1人で寂しかった私が

見つけた居場所。





離れることや
なくなることが怖かったんだ。




「俺だったら、なにがあっても絶対そんなことしない。」





向井さんは私の方をチラっと見る。


目が合ってあまりにも真っ直ぐな瞳に

少しドキっとしてしまった。





「今日は…ひとまず泊まっていきなよ。」


『えっそんな、いいです!泊まるだなんて…』



「財布も持ってきてないんでしょ?今日はとにかく戻らない方がいい。俺はソファで寝るから。」






向井さんはそう言って


私を泊めてくれた。





お風呂あがりの薄着の長袖にスウェット姿で飛び出してきた私に




向井さんはパーカーを貸してくれた。






何もないとは言え


向井さんがいつも寝ているベッドで寝るのは


ちょっと複雑な気分だった。


りょうは今………どうしてる?




< 30 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop