もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「きっとエスカレートする一方だよ。早く別れた方がいい。」
りょうと別れるなんて
考えたこともなかった。
ずっと1人で寂しかった私が
見つけた居場所。
離れることや
なくなることが怖かったんだ。
「俺だったら、なにがあっても絶対そんなことしない。」
向井さんは私の方をチラっと見る。
目が合ってあまりにも真っ直ぐな瞳に
少しドキっとしてしまった。
「今日は…ひとまず泊まっていきなよ。」
『えっそんな、いいです!泊まるだなんて…』
「財布も持ってきてないんでしょ?今日はとにかく戻らない方がいい。俺はソファで寝るから。」
向井さんはそう言って
私を泊めてくれた。
お風呂あがりの薄着の長袖にスウェット姿で飛び出してきた私に
向井さんはパーカーを貸してくれた。
何もないとは言え
向井さんがいつも寝ているベッドで寝るのは
ちょっと複雑な気分だった。
りょうは今………どうしてる?