もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
私は力が緩んだりょうを振り払い起き上がった。
『返してっ…!!』
携帯を奪い返して
鞄を持って
焦るように急いで玄関へ向かう。
鳴り続ける携帯のディスプレイには“向井さん”の文字。
「おい!!待て!!」
りょうが玄関まで追いかけてきて、
私は出られない。
「お前、そいつんところに行くんだろ!!!!絶対行かせねーからな!!」
りょうは無理やり私の手を掴む。
「離して!!!!やだ!!」
私はりょうの手を夢中で振り払って
裸足のまま家を出た。
早く
早く
早く逃げなきゃ