もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
夢中で走った。
どこへ向かってるかも理解できていないまま
ただひたすらに逃げた。
怖くて…震えが止まらなかった。
何度も鳴り続ける携帯。
『……はあ……はあ…向…………井さん…』
「高野さん!?家に戻ったのか??メール見て戻ったんじゃないかって心配になったんだ。」
『…ごめんなさい……別れるつもりで……荷物をとりに戻ったんです…』
「大丈夫なの??」
『はい…………なんとか。』
私は結局
また向井さんの家に
戻ることになった。
夜、早めに仕事を終わらせて帰ってきてくれた向井さん。
リビングに座る私を見て
ホッとしたようにため息をもらした。