もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
お風呂からあがった向井さんは頬を少し赤くして
首にタオルがかかっていた。
テレビを観てる私の隣に座り、
ビールを一口飲んだ。
今日こそ…言おう。
私はテレビの電源を切った。
「ん?観ないの??」
『向井さん…話があるんです。』
いきなり静かな空気になって、向井さんは戸惑っているようだった。
「どうした??」
『私……今幸せです。毎日が楽しくて…』
「そうか。良かった。」
向井さんは穏やかな表情で笑った。
『幼い頃、両親を亡くして…施設で育ちました。ずっと寂しくて…人を信じることができなかった。』
向井さんは真剣に私の話を聞いてくれていた。
『そんな時、巡り合ったのがあの彼でした。』
りょう
私はりょうと出会ったこと
一生忘れない。
悲しい終わり方だけど
りょうとの恋は
生活は楽しかったから。