もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「美沙の荷物、俺がまとめておくから。……今から取りにおいで。」
りょうは最後に
待ってるから、と言って電話を切った。
何度も心の中で
“でも…”って思った。
行っても大丈夫…?
だけど、
荷物を取りに行くだけ。
時間はある。
その後に携帯ショップに行って
昼からは仕事だから
すぐに戻ってきたらいい。
りょうに会うのは今日で最後。
今日で、
本当に最後。
私は、りょうの元へ向かった。
電話の優しく寂しいりょうの声だけを信じて…
最後になるはずだったんだ……
信じなきゃよかった
行かなきゃよかった
そう後悔することを
知らずに