もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)


りょうの手の力はどんどん強くなる。



『痛いよりょう。離して。』





もしかして……


最初から荷物をまとめるつもりなんてなかったの?






私をここへ戻ってこさせるために…?






胸騒ぎが止まらなかった。



早く荷物を持ってここを出たい。




『りょう、離して?』






「離すわけねーだろ。」



りょうは低い声でそう言うと




強引に私にキスをした。







『やっ…!!りょう!!』






私はりょうを突き放す。






乱暴で、怖くて、



やっぱりここへ来なきゃよかったと思った。



『ねえ、話が違うじゃん。私は荷物を…』


「俺が…いつお前と別れるなんて認めたんだよ!」






りょうは荒々しく怒鳴った。





< 53 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop