もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
りょうの手の力はどんどん強くなる。
『痛いよりょう。離して。』
もしかして……
最初から荷物をまとめるつもりなんてなかったの?
私をここへ戻ってこさせるために…?
胸騒ぎが止まらなかった。
早く荷物を持ってここを出たい。
『りょう、離して?』
「離すわけねーだろ。」
りょうは低い声でそう言うと
強引に私にキスをした。
『やっ…!!りょう!!』
私はりょうを突き放す。
乱暴で、怖くて、
やっぱりここへ来なきゃよかったと思った。
『ねえ、話が違うじゃん。私は荷物を…』
「俺が…いつお前と別れるなんて認めたんだよ!」
りょうは荒々しく怒鳴った。