もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「もう、逃がさないからな。」
やっぱり………
最低だよ……
『ヒドイよ…りょう。』
「ヒドイのはお前だろ。今、あいつと付き合ってんじゃねーのか?あの写真の向井ってやつ。」
りょうは私を見下ろしながら
怖い顔で言った。
「お前が働いてる店の前に何度も行ったんだよ。そしたらお前の隣にはあいつがいて……お前は俺に見せない顔で笑ってた。」
りょう…………来てたの?
見てたの?
いつ??
「今、あいつと一緒に住んでんだろ?」
『なんで知って…』
もしかして……
私は驚いてりょうの顔を見上げた。
「まさか……りょう…」
私たちの後ろ
つけてたの??
否定もしないその怖い目に
私は背中がゾクッとして
手が小刻みに震え出した。