もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)


「もう、逃がさないからな。」







やっぱり………





最低だよ……







『ヒドイよ…りょう。』




「ヒドイのはお前だろ。今、あいつと付き合ってんじゃねーのか?あの写真の向井ってやつ。」






りょうは私を見下ろしながら

怖い顔で言った。


「お前が働いてる店の前に何度も行ったんだよ。そしたらお前の隣にはあいつがいて……お前は俺に見せない顔で笑ってた。」






りょう…………来てたの?

見てたの?


いつ??






「今、あいつと一緒に住んでんだろ?」






『なんで知って…』




もしかして……






私は驚いてりょうの顔を見上げた。



「まさか……りょう…」




私たちの後ろ


つけてたの??






否定もしないその怖い目に


私は背中がゾクッとして



手が小刻みに震え出した。





< 54 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop