もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
そして私は抵抗できないまま
無理矢理りょうと繋がった。
抵抗したら力いっぱい殴られて、痛みが増すだけだった。
こんなに悲しいことになるなら
最初から信じなければよかったんだ
昨日の向井さんのぬくもりを…もう忘れてしまっている。
放心状態のまま
布団の中にいる私。
りょうはリビングで煙草を吸っている。
私はズキズキ痛む身体を起こして服を着た。
もう時計は夜の9時をさしている。
リビングに座るりょうの背中を見て
もう逃げられないと思った。
逃げてもりょうは余裕を見せて追ってくるだろう。
その自信は私ではなく、向井さんにむけられて
きっと向井さんを巻き込んでしまう。
涙が次々に流れた。
その時
床で私の携帯が鳴った。