もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)

守りたいもの



その音に気付き

部屋に入ってきたりょうは

私よりも先に携帯を手に取った。





「あいつから電話だ。」



りょうは嫌そうな顔でそう言うと

携帯を私に渡した。


「いいな?別れるって言え。もう二度と会わないって。」


『え…?』




「俺があいつを殺してもいいのか?ちゃんと別れるって言えよ。」







手の中で鳴り続ける電話。





大好きな人からの電話なのに

こんなに悔しくて悲しくて



涙が出てしまう。





会いたいよ

帰りたい




でも巻き込みたくない。





あんなに良い人を…傷つけたくない………





あなたを守るためなら………





< 58 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop