もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
向井さん…
どうしてわかるの??
必死になる向井さんの声を聞いていたら
そうだよって頷きたくなる。
助けてって言いたくなるじゃない。
りょうの方をチラッと見ると、
ものすごく恐ろしい目つきで私を見ていた。
やっぱり…助けてなんて言えない。
向井さんを巻き込みたくない。
今のりょうはキレたら何をするかわからないから。
『違うよ。本当にもう向井さんとは付き合えないって思ったの。』
思ってもない言葉を適当に並べるのは、すごく悲しいことだった。
最初から
1人で何とかするべきだった?
そしたら、向井さんに迷惑をかけることも
こんなに辛い思いをすることもなかったのに…
だけど、もし向井さんに頼っていなかったら
助けられてなかったら
あんなに温かい愛を知ることもなかったね。
ごめんね…向井さん
こんな形でしか、あなたを守れない私を許して。