もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
「美沙ちゃん……俺は美沙ちゃんがいれば何も怖くないよ。もう……離れたくない。」
空を飛べる気がした
向井さんさえいれば
何も怖くない気がした…
「美沙ちゃん…帰ろう。君の居場所はここじゃない。言っただろ、ずっと一緒にいようって。」
私は向井さんの手をしっかり握って
逃げだした。
ずっと心配がる私を気遣ってか、
向井さんは引っ越しを提案してくれた。
店長にも私の事情を一緒に説明してくれて
店長も
無事でよかった、と言ってくれた。
それからしばらくして私たち2人は
別々の支店に移動になった。
これからは同じ店では働けないけど、新しく住み始めた同じ家に帰る。
もう離れたくないよ。
もう離れたりしない。
私はしっかり翼を広げて
向井さんと空を飛びまわっているような
自由な気持ちになった。