もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
だけど………
そんな幸せな生活は
ずっとは続かなかった。
最近、りょうと喧嘩が多くなった気がする。
喧嘩というよりも
りょうが些細なことですぐに怒って
私に手をあげるようになった。
最初は仕方ないと思ってた。
一緒に住んでいたら
こんなこともあるだろう、と。
でも、りょうの暴言、暴力は
増す一方で
私も不安で困惑した気持ちのまま生活するようになっていた。
「元気ないね、高野さん。」
声をかけられて
ふと、仕事中であることに気付く。
『すいません。ぼーっとしちゃって……。』
「大丈夫?最近ずっと元気ないけど。」
心配して声をかけてくれたのは
同じインテリアショップで働く
向井広樹さん、21歳。
私より2つ年上で
優しい性格の、いつも落ち着いた人。
ここで働き始めてからずっと、お世話になっている。