もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
次の日
向井さんと一緒に産婦人科に向かった。
待ち合い室には
お腹が大きくなった女性が何人かいて、
なんか複雑な気持ちだった。
向井さんとの子だったら
この場所へ来る気持ちも絶対に違っていたはずなのに…
不安が広がる。
『ここで待ってて。』
「でも………」
向井さんは一緒に診察室に入ると言ったけど、
私は1人で入った。
怖い……怖い…
もし、りょうとの命がお腹に芽生えていたら………
考えるだけで切なくなってどうしようもなかった。
ただ不安で
平気ではいられなかった。
診察室に入った私の心臓は
さらに高い音を立てた。