もしも、私の背中に翼があったなら。(短編)
そんな私が聞いた衝撃の言葉。
「妊娠はされていませんよ。」
……………え!?
『えっ…………あの……。』
「ただの生理不順ですね。精神的に辛いこととか、何か変わったことはありませんでしたか?」
『ああ………』
私はただ驚いて、不安から解放された気分になって
うまく話せなかった。
「気持ちが不安定になると生理が遅れることもあります。一応、改善できる薬出しておきますね。」
診察室から出てきた私の言葉を聞いて
向井さんは
安堵したように笑った。
でもその後に
「もし妊娠していても、俺は産んでもらうつもりだったよ。俺の子じゃなくても、美沙ちゃんの子に変わりはないから。」
って言ってくれたんだ。
涙が出そうになった。
向井さんに出会えてよかった。
心からそう思ったんだ。